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東京地方裁判所 昭和44年(行ウ)131号 判決 1975年3月17日

原告 小野崎清

被告 向島税務署長

訴訟代理人 玉田勝也 ほか三名

主文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一当事者の申立

一  原告

被告が原告に対し昭和四三年一月二〇日付でした昭和三九年分、昭和四〇年分並びに昭和四一年分の所得税に関する各更正処分及び各加算税の賦課決定処分を取り消す。

訴訟費用は被告の負担とする。

二  被告

主文と同旨。

第二当事者の主張<省略>

第三証拠<省略>

理由

一  請求原因1ないし3の事実は、審査請求棄却の裁決書謄本が原告に送達された日時を除いて当事者間に争いがなく、弁論の全趣旨によれば右日時は昭和四四年四月九日であることが認められる。

二  そこで、本件処分の適法性について判断する。

1  原告は、被告の本件処分は被告が原告の属する民主商工会を嫌悪し、これを弱体化する目的のもとになしたものであると主張し、原告が墨田民主商工会の会員であることは被告の明らかに争わないところであるからこれを自白したものとみなされる。

およそ、居住者は、課税期間中の所得が法定の課税最低限をこえることにより、所得税を納付する義務を生ずる(所得税法五条一項)のであつて、この点は原告ら民主商工会の会員といえども何ら異るところはないはずであり、本件のごとく課税処分における税額の多寡が争われている場合には、課税処分の違法性の存否は右処分において認定された課税標準または税額が客観的に正当とされる数額をこえているか否かによつてのみ決せられるべきものである。したがつて、本件各更正処分等が原告主張のようないわゆる他事考慮によるものであるかどうかは、本来右処分の適法性とは無関係な事柄というべきである。のみならず、<証拠省略>によると、被告の原告に対する本件調査の端諸は、同人の本件各係争年分における申告所得額が同業者に比して過少であると認められるうえに、昭和四一年に原告が取得した資産額が右申告額の所得程度では到底入手困難とみられたことによるものと認められ、他に原告の前記主張を裏付けるに足る証拠もないので、原告の右主張は採用できない。

2  原告は、本件各更正処分が推計によつてなされたのは、その要件を欠き、租税法律主義に違背すると主張する。

被告が原告の本件各係争年分における収入金額にいわゆる同業者比率を適用して推計によりその所得金額を算出し、本件各更正処分をしたことは当事者間に争いがない。推計による更正処分の許されること自体は所得税法一五六条に明記されており、その具体的要件としては、納税者が帳簿書類を備え付けていないとか税務職員の調査に非協力であるなどのため所得の実額を把握することができない場合がこれに当るものと解される。そこで、これを本件についてみるに、原告に対する本件各係争年分の所得調査として、被告係官が昭和四二年九月四日、同年一〇月一九日及び同年一一月一三日の三回にわたり原告宅に臨場したことは当事者間に争いがなく、<証拠省略>を総合すると、次の事実を認めることができる。

原告は、被告係官による第一回目の調査(昭和四二年九月四日)に対して、忙しいからというのみで全く非協力的態度であつた。また、被告の係官であつた高柳和午ほか一名による第二回目の調査(同年一〇月一九日)に対しては、原告は自己の属する墨田民主商工会の班長広田弘之ほか一名を呼んできて立ち合わせ、同人らが右係官に対し「今日は忙しいといつているんだから帰れ」などと要求して応酬するうち、原告は同係官が一旦原告から提出を受けて内容を転記していた領収証類をその手から奪い取り、その目前で破棄してしまつた。被告係官は、同年一一月一三日第三回目の臨場調査をし、原告に証拠書類の提出を求めたが、原告は応じなかつた。そこで、被告は、これ以上原告の協力を得ることは困難であると認め、原告の取引先や銀行等に対する反面調査により収入金額を把握したうえ、一般経費につき被告主張の同業者比率を適用して原告の本件各係争年分の所得額を推計した。

以上の事実が認められ、同認定に反する<証拠省略>は前示各証拠に照らして信用できない。もつとも、<証拠省略>によると、被告係官による前記調査はいずれも何らの予告なしに行なわれたこと、第二回目の調査時には原告がたまたま病院へ出かけるところであつたし、第三回目のときは長男の結婚式を二日後に控えて多用であつたため、それぞれ調査を後日に延期するよう被告係官に頼んだことが認められるが、たとえそうであつても、同係官は短時間でよいから証拠資料を提示し調査に応ずるよう原告の協力を要請しており(<証拠省略>)、前示各証拠によるも当時原告がその余裕すらなかつたものとは認められない。

前記認定事実によると、原告は被告の調査に対し証拠資料の提出もせず、調査に非協力であつたため、同人の本件各係争年分の所得を実額により把握することが不可能であつたと認められるから、被告が推計により本件各更正処分をしたことには原告主張の違法はない。

3  推計方法について

(一)  原告は、被告が本件推計の基礎とした同業者の住所・氏名を明らかにせず、単にABCなどと表示しているのは、憲法二九条、三〇条、八四条等の各規定に違背すると主張する。

しかしながら、「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負う。」(憲法三〇条)のであつて、租税は国民にとつてその存立、活動の源泉であり、これを構成員である国民が各自の担税力に応じて分担するのはむしろ当然の義務というべきである。他方、憲法二九条の財産権の保障も絶対的なものではなく、公共の福祉に適合することを要し、同条の保障と国家の課税権とは決して矛盾するものではないのであり、ただ、為政者の国民に対する恣意的課税から国民の財産権を保障するために租税法律主義の原則がとられているのである(憲法三〇条、八四条)。そして、わが国における居住者は所得税法の定めるところにより所得税を納める義務があるから、問題とされるべきは同法による課税対象たる所得の有無であつて、その所得額の算出にあたり推計の基礎たる同業者比率(その合理性については十分検討を要するが。)の算出の根拠とされた標本同業者の住所・氏名のごときはこれを開示しないということだけの故に憲法の財産権の保障、租税法律主義等に違背するものではないこと明らかである。

(二)  原告は、被告が右同業者の住所・氏名を明示しないのは原告の反対尋問権の行使を困難にし、訴訟資料を被告の手中に独占しようとするものであつて、クリーンハンズの原則に反し、かつ、原告の公平な裁判を受ける権利を害すると主張するが、税務職員は、自己が職務上知りえた秘密を守ることが法令上義務づけられており(所得税法二四三条、国家公務員法一〇〇条一項)、他面において、本件では同業者比率作成の資料とされた当該同業者に関する調査報告書の作成者が当法廷において証人尋問を受け、同書面の作成経過が具体的に明らかにされており、それによると右書面が恣意的に抽出、作成されたものでないことが認められる(後記認定参照)のみならず、結局は右書面の記載内容に関する信ぴよう性の問題に帰着する事項でもあるので、同業者の住所・氏名を開示しないからといつて直ちに原告主張のような違法があるとはいえない。

(三)  そこで、前記同業者の類似性について検討する。

<証拠省略>を総合すれば、次の事実が認められる。

被告は、本件推計の基礎たる同業者の選定に当り、(1)原告の住居地を管轄する向島税務署、並びにこれに隣接する荒川、葛飾及び足立税務署各管内に居住する受託機械加工業者(主として、ボール盤、タツピング、かしめ使用)であること、(2)青色申告者であること、(3)本件各係争年分の収入(売上)金額が一〇〇万円以上五〇〇万円未満のものであること、(4)従業員数が二ないし六名のものであること、以上の基準を設けて右各税務署において保管する索引簿より同基準該当候補業者を抽出したうえ、その業者から提出されていた確定申告書ないしは決算報告書により、あるいは直接当該業者に電話をするなどして、各業者の設備機械、従業員数等の調査を遂げた結果、右基準のすべてに該当する業者としては被告主張の同業者ABCDEFしかないということになつて、これが選定抽出された。そして、同人らの収入金額、差引所得金額(収入金額より一般経費を控除したもの)及び所得率(収入金額で差引所得金額を除したもの)は、被告主張のとおり(第二の二の2(三))である。

他方、原告は本件各係争年当時、タツピング二台、卓上ボール盤一台、かしめ一台を設置し、その全収入に対する稼働率はタツピング五ないし六割、卓上ボール盤二ないし三割で、かしめは一割程度であり、その動力(電力)については、電力会社の許可を要しない二分の一馬力一本を設備して主にタツピング用に当て、その他の機械には家庭用電灯線からの引込みによつたため、モーターも一般に使用される三相モーターに比して出力の弱い単相モーターしか使用できず、営業内容も小型製品の加工に限定された。

もつとも、原告が東京都工場公害防止条例(東京都公害防止条例以前のもの)に基づき旧建物につき昭和三八年四月、新建物につき昭和四一年九月二八日付で申請した工場認可申請書(<証拠省略>)には、設備する機械として、旧建物につき旋盤動力一・五キロワツト、セーパー動力一・五キロワツト、ボール盤動力〇・七五キロワツト、グラインダー動力〇・七五キロワツト各一台及び卓上ボール盤動力〇・四キロワツト四台、新建物につきタツピング動力〇・四キロワツト三台、セーパー動力二・二キロワツト二台、フライス盤動力一・五キロワツト一台、旋盤動力一・五キロワツト一台、ボール盤動力一・五キロワツト一台、卓上ボール盤動力〇・四キロワツト二台、グラインダー動力〇・四キロワツト一台とそれぞれ記載されているが、これはあくまで各申請時点における予定であつて、現実は地主の反対などにより前記のごとくタツピング二台、卓上ボール盤、かしめ各一台が設備されたにすぎなかつた。

そして、前記同業者の設備機械(別表一ないし三)、原告の電力使用量(別表四)、同業者Bの電灯・電力料等(別表五)、原告の年間電気料金の算定明細(別表六)<省略>がいずれも被告主張のとおりであることについては当事者間に争いがない。

また、<証拠省略>によれば、原告の本件各係争年当時における従業員数は、長男、二男、三男のほか内妻久保田政子も結束、検数などの作業に従事していたことが認められる。

以上の認定事実に照らすと、原告と前記同業者AないしFとの間には立地条件、業種、業態並びに営業規模において両者の間には相当の類似性を肯認することができる。たとえば、設備機械の点でも原告のかしめを除いて両者はほぼ共通であり、しかも、原告のかしめも工賃収入全体に占める割合は一割程度にとどまるから、殆んど右結論には影響を及ぼさないものというべく、また、消費電力と収入金額との割合は、前記認定のごとく同業者Bの電力・電灯使用料合計において昭和三九年分一・八八パーセント、昭和四〇年分二・〇五パーセント、昭和四一年分一・五三パーセントであるのに対し、原告のそれは昭和三九年分が一・九二パーセント、昭和四〇年分が二・一九パーセント(算定明細は別表六)<省略>と極めて近似している。なお、原告が単相モーターを使用しているため仮に原告主張のごとく三相モーターに比し低効率であつたとしても、被告の本件各更正処分は、後記認定のごとく、収入金額を実額で把握したうえ、ただ一般経費の点でいわゆる同業者比率を適用しているにすぎないから、右の点も本件推計の合理性に消長をきたすほどのことではないのである。

してみると、被告の前記同業者比率による本件推計には十分合理性があるものということができる。

4  原告は、被告が原処分後の資料によつて本件各更正処分等の適法性を立証しようとするのは不当であると主張するけれども、本件のごとく税額の多寡が争われている訴訟においては、被告はその主張にかかる課税標準の存在につき原処分後に収集した資料によつてこれを立証することも別段禁止されておらず、口頭弁論終結に至るまで適宜その提出が許されるものと解すべきであるから、原告のこの点に関する主張は理由がない。

5  本件各係争年分の所得額

(一)収入金額

<証拠省略>を総合すると、次の事実が認められ(ただし、いずれも各年一月二五日までの取引分は前年一二月分の取引として経理上処理されている。)、他に同認定に反する証拠はない。

取引先

昭和三九年分

(円)

昭和四〇年分

(円)

昭和四一年分

(円)

(株)アヅマ製作所

三五四、五一二

三二四、六七三

三六九、四一八

佐藤錠前(株)

二九二、一八八

二四、二九六

三三八、六三七

(有)横田忠治製作所

一八五、一七七

一七三、四三二

二〇三、八三三

(有)小川製作所

五一〇、〇五一

一二七、一二四

五、九二九

(株)八島製作所

(有)八島号

三二一、八五四

三〇九、五四四

二〇〇、〇五七

(有)東工産業

二八、七四四

五六、八八一

四一、一六三

富岳工業(株)

八八、三六四

一三三、五〇七

六、六五〇

伊東由郎

一三四、九〇四

五一、六二四

植木俊明

二七、八三八

六九、四六三

五、五七四

高橋孝二

五、六七〇

(有)さかえ工業所

四、五〇〇

一七六、二三二

(有)ミツワ工業所

九、二〇二

四三二、八一四

(有)松岡製作所

一六九、〇七九

三〇一、四一六

(有)町田酸素工業所

一〇、七三三

吉田淳三

二三二、三四三

二一一、五九〇

赤尾新太郎

五、八六八

清野勝

一一、二二〇

(資)曲尾製作所

三一、八〇〇

富士楽器玩具(株)

二一、三六〇

(株)高橋鉄工所

五一、八〇〇

北原国男

八二、二一八

西田喜一

四、五〇〇

(株)越智製作所

五八、一八二

合計

一、九四九、三〇一

一、七四五、二八九

二、五一一、三七三

(二)  算出所得金額

前記認定のとおり、同業者所得率は、昭和三九年分が七二・九四パーセント、昭和四〇年分が七四・〇八パーセント、昭和四一年分が六九・八三パーセントであるから、前記各年分の収入金額を右所得率に乗じて得られる算出所得金額は、

昭和三九年分 一、四二一、八二〇円

昭和四〇年分 一、二九二、九一〇円

昭和四一年分 一、七五三、六九一円

である。

(三)  差引所得金額

本件各係争年分につき、新・旧各建物の取得価額、旧建物の耐用年数、新・旧各建物の事業使用割合並びに支払地代の事業使用割合、昭和四一年分につき支払利子額とその事業使用割合がいずれも被告主張のとおりであることについては当事者間に争いがない。

(1) 昭和三九年分

(ア) 建物減価償却費 九、五五三円

旧建物の取得価額四二四、五八〇円に「減価償却資産の耐用年数等に関する大蔵省令」(昭和四一年大蔵省令第三七号による改正前のもの)による耐用年数二〇年、事業使用割合五〇パーセントを適用して計算した額

(イ) 地代 三、一二五円

地主に原告が支払つた地代六、二五〇円(原告は七、〇二〇円であると主張するが、これを認めるに足りる証拠はないので、被告主張額による。)に事業使用割合五〇パーセントを適用して計算した額

(ウ) 特別経費 合計 一二、六七八円

(エ) 差引所得金額 一、四〇九、一四二円

前記算出所得金額一、四二一、八二〇円より右特別経費額一二、六七八円を控除した額

(2) 昭和四〇年分

(ア)建物減価償却費 九、五五三円

昭和三九年分と同様方法により計算した額

(イ) 地代 三、四三八円

地主に原告が支払つた地代六、八七六円(原告は七、〇二〇円であると主張するが、これを認めるに足りる証拠はないので、被告主張額による。)に事業使用割合五〇パーセントを適用して計算した額

(ウ) 特別経費 合計 一二、九九一円

(エ) 差引所得金額 一、二七九、九一九円

前記算出所得金額一、二九二、九一〇円より右特別経費額一二、九九一円を控除した額

(3) 昭和四一年分

(ア) 建物減価償却費 一七、八九八円

<証拠省略>によると、原告は旧建物を昭和四一年一〇月二〇日に横田忠治に譲渡し、同年九月五日小川正治より土地を購入し、同地上に新建物を建築したことが認められるところ、新建物の取得価額が合計一、六二一、三一一円であることについては前記のごとく当事者間に争いがない。そこで、旧建物の取得価額四二四、五八〇円に「減価償却資産の耐用年数等に関する大蔵省令」(昭和四一年大蔵省令第三七号による改正後のもの)別表第一のうち種類・建物、構造・木造、細目・工場用その他のものに定める耐用年数一六年、使用月数一〇月を、また、新建物の取得価額一、六二一、三一一円に右改正後の前同大蔵省令別表第一の種類・建物、構造・木造モルタル造、細目・工場用その他のものに定める耐用年数一五年、使用月数二月を各適用して、事業使用割合五〇パーセントによる計算をした額

(イ) 地代 三、一二五円

地主に原告が支払つた地代六、二五〇円(被告主張額)に事業使用割合五〇パーセントを適用して計算した額

(ウ) 支払利子 一九、四六八円

原告の支払つた借入金利子三八、九三五円に事業使用割合五〇パーセントを適用して計算した額

(エ) 特別経費 合計 四〇、四九一円

(オ) 差引所得金額 一、七一三、二〇〇円

前記算出所得金額一、七五三、六九一円より右特別経費額四〇、四九一円を控除した額

(四)  事業所得金額

本件各係争年分の事業専従者控除額が被告主張のとおりであることについては当事者間に争いがない。

(1) 昭和三九年分 一、一五〇、二四二円

前記差引所得金額一、四〇九、一四二円から右専従者控除額二五八、九〇〇円を控除した額

(2) 昭和四〇年分 一、〇五四、九一九円

前記差引所得金額一、二七九、九一九円から右専従者控除額二二五、〇〇〇円を控除した額

(3) 昭和四一年分 一、二八五、七〇〇円

前記差引所得金額一、七一三、二〇〇円から右専従者控除額四二七、五〇〇円を控除した額

(五)  課税総所得金額

本件各係争年分につき被告主張の各所得控除項目があること及びその控除額については当事者間に争いがないところ、原告は、同人の内妻(当時)久保田政子につき被告が右控除対象とすることを否認したのは違法であると主張するけれども、所得税法二条一項(昭和四〇年三月三一日改正前は八条一項)三三号には控除対象配偶者として「居住者の配偶者でその居住者と生計を一にするもの」と定め、他に特段の規定も設けていないから、ここでいう「配偶者」とは民法の規定による配偶者をさし、いわゆる内縁配偶者のごときはこれに含まれないものと解するのが相当である。

(1) 昭和三九年分 九〇六、八六二円

前記事業所得金額一、一五〇、二四二円から右所得控除額二四三、三八〇円を控除した額

(2) 昭和四〇年分 八六六、四一九円

前記事業所得金額一、〇五四、九一九円から右所得控除額一八八、五〇〇円を控除した額

(3) 昭和四一年分 一、〇九七、四〇〇円

前記事業所得金額一、二八五、七〇〇円から右所得控除額一八八、三〇〇円を控除した額

6  以上のごとく、本件各係争年分の課税総所得金額は、昭和三九年分九〇六、八六二円、昭和四〇年分八六六、四一九円及び昭和四一年分一、〇九七、四〇〇円であることが認められるので、本件各更正処分における課税総所得金額は右の範囲内であるから適法であり、また、原告の確定申告額が請求原因記載のとおりであることについては当事者間に争いがなく、これが過少申告に当ること明らかである。したがつて、これを理由としてなされた本件各賦課決定処分も適法というべきである。

三  叙上の次第で、被告の本件処分は適法であつて、これにつき原告主張の違法はなく、これが取消しを求める原告の本訴請求は失当として棄却すべく、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 高津環 牧山市治 上田豊三)

別表一 同業者の昭和三九年分機械設備

同業者

プレス

卓上ボール盤

切断機

タツピング

グラインダー

枝ボール盤

旋盤

フライス盤

電気ロクロ

卓上旋盤

ナツト盤

別表二 同業者の昭和四〇年分機械設備

同業者

プレス

卓上ボール盤

切断機

タツピング

グラインダー

枝ボール盤

旋盤

フライス盤

電気ロクロ

卓上旋盤

ナツト盤

別表三 同業者の昭和四一年分機械設備

プレス

卓上ボール盤

切断機

タツピング

グラインダー

枝ボール盤

旋盤

フライス盤

電気ロクロ

卓上旋盤

ナツト盤

別表四 原告の電力使用量(単位 キロワット)

区分

月別

昭和三九年分

昭和四〇年分

低圧

(動力用)

従量乙

(電灯用)

低圧

(動力用)

従量乙

(電灯用)

一月

四〇

一七四

三三

一七四

二月

五〇

二五〇

四一

二三九

三月

五八

一九九

三四

一九一

四月

五八

一九九

四五

二二一

五月

四九

一七八

五七

二二八

六月

五〇

一八二

四二

一八〇

七月

五九

一六九

三九

一九七

八月

四〇

二〇三

七〇

二〇四

九月

三六

二〇九

五五

二〇三

一〇月

三五

一九四

六二

二〇四

一一月

三五

二〇五

五二

一八七

一二月

三一

一七八

四四

一七三

合計

五四一

二、三四〇

五七四

二、四〇一

別表五 個人事業経営者(同業者B)の電灯電力料金調(単位 円)

区分

年分

収入金額

電灯料

電力料

電灯・電力計

収入対比

昭和三九年分

三、七五六、〇六〇

二三、六八六

四七、〇九六

七〇、七八二

一・八八

昭和四〇年分

三、三六九、二〇七

二七、五二一

四一、六四八

六九、一六九

二・〇五

昭和四一年分

四、七七六、六三五

三〇、八五八

四二、一六八

七三、〇二六

一・五三

別表六<省略>

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